「それより先は、秘密です」

女の子で、アイドルで、あるときはどこかのお姫さま?
ちょっぴり不思議な貴音を、”となり”から覗いてみるSSアンソロジーです。

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Peko ◆ 探し物

響のとなり

「うわーん、ねこ吉ー! どこ行ったんだー!」
 もうお日様もすっかり沈んだ午後7時。
 大きな声で、家族の名前を呼びながら響は走る。
 沖縄とはまた違う淀んだ暑さに、じわりとにじむ汗が気持ち悪い。
「自分が悪かったって! だから、帰ってきてよ!」

吉原睡眠 ◆ お姫さまは怖がり

伊織のとなり

 病院を模した建物の、ひびだらけの入口に立つ。平日のお昼の遊園地はだいぶ空いていて、人もまばら。
「さて。貴音、心の準備はできた?」
 そんな中、入口の前でそわそわと動いている私たちはかなり目立っているように思える。一応それぞれ変装をしていて、私はサングラスをかけているし、貴音は、黒いローキャップを、普段よりずっと目深にかぶっている。私とも目も合わせずに、何度もうう、とかああ、とか声を出している。

N.赤津 ◆ 冬の日

亜美と真美のとなり

 カーテンを開けると一面の雪景色だった。わあ、と真美が歓声をあげた。
「見てよ亜美、すごいよ!」
 寝ぼけ眼をこすりながら亜美が洗面所から出てくる。けれどその瞳も、外の景色へ向けられるやいなや、ぱっと見開かれた。わあ、とこちらも歓声をあげながら、掃き出し窓の鍵を開けて、ベランダへと飛び出した。

セミ ◆ 共犯者たち

765プロのとなり

貴音
『律子、折り入ってお聞きしたいことがあるのです』

 車を運転中、助手席に投げ出していたスマートフォンがぶるぶると震えた。信号待ちの最中だった。目の前の車が停止していることを確認し、ちらりと視線を向ければ、貴音からのメッセージが届いている。

豚子 ◆ 表紙イラスト

貴音さんは私にとってとても大切な女の子で、未だに掴みきれないところの多い女の子でもあるけれど、彼女が見せてくれる表情も、私がしらない一面も、出会った頃から変わらずに大好きです。
(あとがきより一部抜粋)